照明で店舗は変わる!印象を決める灯りの基礎知識と経費削減LED化のポイント

店舗を持ってお仕事をされている方。特に飲食店や生活用品を販売されている店舗では、お客様が入店される前、された時に受ける「雰囲気」が大切です。
そこで商品の並べ方や美味しそうに見えるラインナップを工夫されていると思いますが、お客様が受ける印象として忘れてはいけない大切な要素があります。
それは「照明」なんですね。
いくら商品を上手に並べていても、いくら美味しそうに見えるメニューを並べてみても、照明が雰囲気に合っていないとお客様はなかなか足を踏み入れてくれません。
そこで今回は、照明によって店舗のイメージが変化する理由。効果的な照明の使い方の基礎知識についてお話していきます。
1: 照明は店舗の雰囲気を変える
店舗でお仕事をされているところには、かならず照明があります。
ただ、これら照明は商品や室内を明るくするだけの役割になっているところもありますが、実はそれではもったいない使い方をしている可能性があるんですね。
本来、店舗における照明とは、店舗という一つの世界を演出するアイテムのはずです。空間デザインなどと呼ばれることもありますが、店舗の照明をどのように工夫するのかで、人気のお店になることもあれば、同じような商品を扱っているのに人が入ってこないお店になることもあります。
そこで、あなたのお店の照明がどのような状態になっているのかを少し考えてみましょう。
とにかく明るくすればいい。ということではありませんからね。
あなたのお店には、開店する理由やコンセプトが必ずあるはずです。
例えば、カジュアルな洋服を扱うアパレルショップなら、活気を感じられるような明るい雰囲気の照明が好まれるでしょう。
いっぽう、40代、50代をターゲットにしたアパレルショップなら、少し落ち着いた照明を好むはずです。
もしここで照明の雰囲気が逆になっていたとすると、間違ったターゲットのお客様が入店し、結局は居心地が悪くて何も買わずに出て行くことも起こりえます。
照明とコンセプトに関しては、人気のお店を体験するのが一番です。
人気店と言われるところは、総じてお店のコンセプトに合った照明になっています。
例えば、
- アップルストア
- スターバックス
- 名の知れたフレンチのお店
- 芸能人も通うバー
実際に足を運んでみるとわかりますが、コンセプトと照明がマッチしているからこそ、入店した人も安心して「自分の居場所」を認識し、何度も訪れたくなるのです。
2: 照明を効果的に店舗で活用する基礎知識
では、コンセプトに合わせた照明を店舗に取り入れるには、どのようなことを知っておけば良いのでしょうか。
ホームセンターへ足を運んで、適当に照明を購入してきて試すというのも方法ですが、それでは効率が悪すぎます。
そこで、次から説明する照明の基礎知識を知っておき、あなたの店舗のコンセプトに合わせた照明を選んでもらいたいと思います。
(1)照度とは
「照度」これは「ルクス」という言葉でも表現されています。
おそらく「ルクス」という単位を聞くと、明るさを表していることに気づかれた方も多いと思います。
照度とは、お店の雰囲気を決める「明るさ」です。JIS規格で定められている内容によると、次のような例があります。
- 2000ルクス → スーパー、百貨店などの陳列部で使いやすい
- 750ルクス → オフィスでの細かな作業で使いやすい
- 500ルクス → 店内全体を明るくしたい
- 200ルクス → トイレ、休憩室などゆっくりしたい
- 100ルクス → 出入り口付近
■ポイント
照度を表す単位には、ルーメン、ルクス。カンデラの3種類があります。上記のルクスは主に照明直下の明るさを表すときに使われます。特に1m直下の明るさをルクスで表示して表記するのが通例です。例えばオフィスの750ルクスは部屋平均の床上75cm(通常の机の高さ)での明るさが設備基準となっておりますが決して強制的なものではありません。明るさは距離の2乗に反比例します。つまり1m直下と2m直下では明るさは1/4に減衰していきます。灯具の設置位置(天井の高さ)なども考慮に入れて選択することも重要です。
照明は使うシーンや場所によって照度を選ばないといけません。とにかく明るくしようというのは間違いです。
例えば商品の陳列棚に使う照明が、明るすぎると光が反射して商品が見づらくなります。場合によっては商品タグがチカチカして見づらく、値段や商品の細かなことがわからないので購入しないという人も出てきます。
(2)光色の種類
照明には色合いがあります。光の色味によって商品や店内の雰囲気がガラッと変わりますので覚えていきましょう。
特に料理や洋服などは、色味によって商品から受ける価値すら変えてしまうこともあります。
[1]昼白色
明るくクリアな色味です。活気のある明るさですし、見やすい色味でもあります。
[2]電球色
オレンジのかかった色味が特徴的です。
落ち着いた雰囲気がウリの飲食店や、大人世代をメインターゲットにした店舗に似合う色味です。
これら意外に「昼光色」という色味もありますが、店舗で使われることはあまりありません。家庭で使われることが多いため、店舗で使うと「日常的」になりすぎる可能性もあります。
■ポイント
商品の色を注視することが大切です。光の3原色はRGB(レッド、グリーン、ブルー)でありこの3種の配合で各種の色が構成されます。赤い商品にブルー系の光を浴びせると、その強さによっても異なりますが総じてオレンジ色っぽく見えてきます。赤い商品をより鮮明に見せるためには赤系統の強い光を出すべきでしょう。食料品で言えば肉類などに青い光を浴びせると赤みが薄くなり、美味しさが損われる印象が残ります。また青物野菜などに赤系統の照明を照射すると新鮮さが損なわれる印象を与えてしまいます。商店での照明選びは陳列商品によって光をコントロールして選択することも重要となります。
(3)光源の種類
光源とは、照明の光の発信源です。現在店舗で使うことの多い光源は次のようになっています。
[1]蛍光灯
光を拡散する光源です。現在、多くの店舗で使われています。
蛍光灯は安価で明るいため、多くの店舗で使われていますが、熱を持ちやすく、紫外線を発生するため商品や壁が変色したり日焼けしたりすることもあります。
[2]LED
LEDを使った照明も増えてきています。
LEDは省エネ性能が高く、寿命も長いため、今後の店舗で使われる光源として主役になっていくでしょう。
また、LEDは蛍光灯とは違い、熱を持ちにくく紫外線も出さないため、店舗の方としては安心して使うことができます。
3: 店舗の照明をLED化するメリットと注意点
店舗の照明として主役になりつつあるLEDですが、次のようなメリットと注意点があります。
メリット
(1)節電効果
LEDはこれまでの蛍光灯よりも最大1/2の節電効果が期待できると言われています。
電気代は店舗における固定費用ですから、できるだけ抑えておきたいところです。照明の点灯時間が長いお店こそ、LED化を検討していただきたいと思います。
(2)冷房効果
意外なメリットですが、LEDは蛍光灯とは違い熱の発生が少ないです。そのため、特に夏場に効果が出やすいのですが、天井に熱が溜まりにくくなるので冷房の効率が高くなるのです。
冷房の効きが重要になってくるケーキ屋さん、ゆっくりとお店に滞在してもらいたい業種などは、LED化することで冷房効果が期待できるでしょう。
(3)虫の予防
LEDは紫外線を出しません。そのため、紫外線に寄ってきていた虫が来にくくなります。
お店の中を虫がブンブン飛び回ると、店主もスタッフもイライラしますし、お客様もイライラします。
虫対策を検討されている店舗には、LED化がおすすめです。
(4)日やけ予防
紫外線を出さないことでもう一つメリットがあります。それは壁や商品の日焼けを防げるということです。
薄黄色く日焼けした壁や商品をお客様が見ると残念な気分になります。
アパレル業や寝具、雑貨などを販売されている店舗なら、LED化することで日焼けの心配を少なくすることができるでしょう。
注意点
(1)暗さ
LEDの光は直進性が強いため、蛍光灯のように広い範囲をまんべんなく明るくするのが苦手です。LEDはスポットライト的なのです。
そのため、スポットライトが当たっていない部分は暗く感じます。まんべんなく明るくするためには、間接照明を取り入れてみましょう。
(2)色
LEDによって、白が強かったり、青が強かったりするものがあります。LEDに変えるときには、光の色味を確認しておきましょう。ワット数や形状だけで選ぶと、お店の雰囲気が変わってしまうこともあります。
4: まとめ
店舗の照明は集客に影響します。そのため、雰囲気づくりの方法として照明を変化させてみることも重要です。
また、2020年から随時、従来の蛍光灯の生産が終了していきますので、今から将来を見越してLED化を検討されるのも良い選択だと思います。